オチもなんもない

睡眠薬を摂取した体は、先程より幾分か楽になった。目の前が白んできて、緩く首を締められているような、ぼんやりとした倦怠感に包まれていく。
今日はゆっくり眠れるかもしれない。
あれほど子供の時は寝つきが良かったのに、今ではこのザマだ。きっかけは、覚えてない。
元カレの睡眠薬をちょっと拝借したのがいけなかったのかもしれないし、ニコチンやらストレスやらで頭が馬鹿になったのかも。
別に、薬を飲めばいつも通り過ごせるから特に困っていないのだけれど、如何せん顔色が悪くなるから周りに心配されるようになった。周りで人がウロチョロするのはあんまり好きじゃない。
次第に、大学で仲良くしてたあの子達とも距離を置くようになってしまった。時計をチラリと見て、あの子達また夜のクラブにでも出かけてるのかな、なんて思い出して、頭がギュッと痛くなる。
あ、これは確か「嫌い」な記憶だ。固く目を閉じ、息を止めた。すると、まるで後ろから突き飛ばされたみたいに、急速に眠りに落ちていけるのだ。

暗い、夜道を歩いている。たまに古い蛍光灯に照らされること以外は、本当に何も無い道をただ歩いていた。
気がついたら横に子供がいた。しろくんだ。
この暗い夜道で逸れないように、私の手をギュッと握っている。その子の手を引いて、またどんどん足を進めていった。
「ねぇ、ホタルみにいくんだよね」

ハッとして目を覚ます。というより、強制的に目覚めさせた。冷や汗をびっしょりとかいて、呼吸が浅くなる。途中で、夢だと気づけて良かった。あれは、私がいちばん嫌いな記憶だ。思い出しては、いけない記憶のはずだ。



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